最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)960号 判決 1949年2月15日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人横田隼雄の上告趣意について。
しかし岡田吉武に對する司法警察官の聽取書には論旨摘録の如き記載はあるが右記載は所論の如く準強盗の事実を供述したものと認めることはできない。暴行脅迫を用いて財物を奪取する犯意の下に先づ財物を奪取し、次いで被害者に暴行を加えてその奪取を確保した場合は強盗罪を構成するのであって、窃盗がその財物の取還を拒いで暴行をする場合の準強盗ではないのである。それゆえ原判決が前記聽取書の記載をもって原判示に符合する被害顛末の記載と認め、これを他の證據と綜合して原判示の強盗の事実を認定したのは正當である。然らば原判決には何等所論の如き違法なく論旨は理由なきものである。
仍って刑訴施行法第二條舊刑訴第四四六條により主文の如く判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)